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高校クイズに、ボクも出るぞ!

 20XX年夏。中学3年生の少女・音無一葉(おとなしかずは)は、夏休みの宿題と格闘していた。提出日まであと3日にも関わらず、その大部分に手をつけていない。一応高校受験生であるという自覚はあるのだが、特に志望校を決めているわけでもなく、いまいち学業に力が入らないのだ。 「どうもやる気出ないなぁ。ちょっとだけ息抜きするか」  そう思ってテレビの電源を入れると、見慣れない番組が映っていた。全日本高校クイズ選手権(通称:高校クイズ)の全国大会のVTRである。 「へー、クイズの全国大会なんてあるんだ……面白そう」  一葉の地元、千葉県代表として出場していたのは千葉県立美浜高校。チームで一致団結して繰り出されるクイズに次々と答えていく様子は、まるでスポーツのような熱気に溢れるばかりでなく、知的でクールな雰囲気に包まれていた。その新鮮な光景に思わず見とれる一葉。番組が終わるころには、一葉の中でひとつの決意が芽生えていた。 「ボクも、高校クイズに出たい!!」  高校クイズに出るには美浜高校に入るのが近道―そう考えた一葉はこのときから心を改めて勉学に励むようになった。美浜高校は県下有数の進学校。一葉の成績で狙うのは容易ではなかったが、高校クイズに出たい、その想いが彼女を猛勉強に駆り立て、ついに美浜高校入学を果たした。

クイ研入部!……あれ、他の部員は?

 新学期。美浜高校1年生となった一葉は、早速クイズ研究部の部室に向かった。部室にいたクイ研部長に入部届けを提出し、晴れてクイ研の一員となった一葉。だがその直後、部長から思いもよらない話を聞かされる。 「いまいる部員は君と僕……2人だけだ」 「去年の大会に出てたのは3年生で、みんな卒業しちゃってる。他の部員も抜けちゃったんだよね、僕以外は」  高校クイズには5人の選手が必要。このままでは出場することすらかなわない。 「あと3人……まあ、運がよければ来るかもしれないけど、ちょっと厳しいだろうな」  そう言って部長は諦めムード。だが高校クイズのために美浜高校に来た一葉にとっては、そう簡単に諦めるわけには行かなかった。 「じゃあ、ボクが連れてきます!」  部長が止める暇もなく、一葉は廊下へ飛び出していった。心当たりの人はいないが、とにかく探してこなくちゃいけない。果たして一葉はあと3人の部員を集めることが出来るのだろうか?

ビックサイトに、行きたいかー!?

「オー!!」  高校クイズ全国大会の開催地・ビックサイトは、日本全国の高校クイズ出場者にとって、聖地そのものだ。各都道府県大会を制した猛者のみが、この地に赴くことを許される。知力に留まらず、体力、チームの団結力をも試されるこの大会に向けて、美浜高校クイズ研究部の面々も、このときのために日夜特訓に励んできた。  千葉県大会では、去年美浜高校と激戦を繰り広げた古豪・蘇我高校をはじめ、数多くの高校が優勝を狙っている。一葉たちはこれを勝ち抜き、ビックサイトへの切符を手にすることができるのか?  そして、全国大会で出会う並居る強豪に打ち勝ち、全国の頂点に立つことができるのか!? クイズにかける青春物語、いざ開幕!